DATE 2009. 5.18 NO .



「ユーリっ!」

 あぁ、またか。
 これは確信犯って奴なのか?

 ……考えすぎ、か。
 あいつに限って、いちいちそんな事を考えているはずがない。

「聞こえてないのか!!」

「はいはい、ちゃんと聞いてるっての」

 振り向かないまま、ひらひら。

 お前は全然わかってない。
 わかって、ないよ。

「ユーリ」

 あぁ、うるさいな。

「おい、ユーリ!!」
「――おわっ!?」

 突然肩に重みが加わる。
 そして、着地。
 視界に跳ねた短い金髪が……眩しかった。

「…ったく、何なんだ一体!」

「何だとはなんだ、ユーリが振り向かないからだろう!」

「おいおい俺は職務質問でもされるとこだったのか?」

 俺がそう言った途端、あいつの表情が変わった。

「へぇ……」

 やばい、口がすべった…!

「職務質問なら、いいんだ?」

「よくない、よくないぞ!」

 輝かんばかりの営業スマイルを浮かべて、俺の肩にぽん、と最終宣告。

「帰ってきたのに一言も無しなんてさ、いい度胸してるよね?」

「それのどこが職務質問なんだ!?」

「副皇帝陛下のお墨付き」

「……は?」

「――というわけで、連行するよ」

「って、ちょっと待てえっ!!」



 あいつは全然わかってない。
 俺の手はどうあがいたって、血塗られたままだ。

 水紋の消えた川面を、声の消えた流砂を、もう一度この眼に焼きつけて。
 この罪が消える事は決してないのだと、もう一度この胸に刻んだ。

 そうやって割り切ってみるとな、案外すっきりするんだぞ?
 で、この罪と一緒に幸せになってやるんだ。

 だからさ、わざわざ俺に構いに来るな。
 お前が言った事じゃないか。

 どんどん先に行け。
 追いかけてやるから、さ――フレン。







≪あとがき≫
 どん底の冒頭を削ったのは正解だったようです。
 そして、当初予定していたソディアの存在が完全に抹消されました\(^O^)/
 ……このサイトのフレンは、たぶん腹黒さと過保護さで出来ています。





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