DATE 2008. 9.22 NO .



「エッジ、王子様のくせに踊るの下手だね」

 誰のせいだ、誰の……。

「これじゃ、セシルの方がずっと上手に見えるよ〜?」

 そこでセシルの名前を出すなぁっ!!

「下手くそのお前をエスコートするのが思いの外大変で、な!」

「えー、何それー!」

 そんな事を小声で言い合っていても、リディアから目が離せない。
 旅してた頃と全然違うじゃねーか。何だよ、そのドレス。

「本当は踊った事ない、とか?」

「バカ言え、仮にも一国の王子なんだぞ、んな事あるわけねぇだろ」

「うん…まぁ、普通ならそうだよね」

 そう言いながら、リディアは楽器を奏でるギルバートのいる方をちらりと見やる。
 おいおい、あいつと比べるって、さすがにひどくないか……。

「教養として一通りはちゃんと身につけてあるっての。エブラーナでは機会もなかったからほとんど忘れてたのを、今日のためにってもう一度叩き込まれたばっかでな」

 見てろよ――

「――こんな事も出来るんだぜ…!」

「ちょっとエッジ……っ!?」

 …そもそも、お前が悪いんだ。

 俺がどれだけ素晴らしい王子サマなのか、わかってない。
 お前がどれだけ俺の心を占めているのか、気づいてない。

 ――罰として、主役の二人より目立たせてやるよ。

 俺とお前なら、全然問題ねーし。







≪あとがき≫
 ……OTZ
 最初このお題はユリエスでやろうと思ってました。
 こんな様子を、たぶんバロン国王夫妻が大変微笑ましく見守っておられます。





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